ツンデレ社長の甘い求愛
それはもちろん、完全オフスタイルの時でさえ。

だからストーカーって線は限りなくゼロに近いと思う。

それに郵便物が荒らされたとか、変な電話やメールがくるとか、そういったことは一切ないし。

本当にただ時々、視線を感じるだけなのだ。

でもストーカーじゃないとすると、感じる視線の正体は一体なんだろうか。

それが分からないから不気味なんだよね。


「警察に相談したりした? あれ、馬場さんってひとり暮らしだっけ? セキュリティは万全のところ?」

色々と考えている間も松島主任はひとり、慌てふためいている。

「あっ、はい。セキュリティ面では安心なところに住んでいるんで大丈夫です」

「うぅーん……それでも上司としては心配だし、相談に行くことをオススメするけど……もしあれだったら、俺が一緒に行ってもいいし!」

「ありがとうございます。でも今はなにももう少し考えてみて、そのときはお願いしますね」

松島主任の優しさは嬉しいけれど、特別危害を加えられているわけでも、接触されているわけでもない。

相手も見当もつかない状況で相談に行っても仕方ないと思うし。

「絶対だからね?」

それでもこうやって心配してくれる存在がいることは、心強い。

上司としてだとしても。
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