ツンデレ社長の甘い求愛
不意打ちの優しさは反則です!
金曜日の午後――。

今日の私は朝から落ち着きを失っていた。

「かすみ先輩、顔! 引き締めないと十五時からの打ち合わせマズイですよ」

「え?」

いつの間にかパソコンキーを打つ手が止まっていて、我に返ると亜美ちゃんが呆れ顔で私を見下ろしていた。

「珈琲でも飲んで、今は彼氏さんのことは忘れてくださいね」

「いや、別に……っ」

珈琲を淹れてくれたようで、カップをデスクにそっと置くと亜美ちゃんはニヤリと笑った。

「いいじゃないですか、隠さなくて。明日は土曜日ですし、もしかして今夜からラブラブお泊りデートですか?」

ラブラブって……!

「ちっ、違うから!」

声を荒げてしまうと、ますます亜美ちゃんの顔が確信を得ていく。

「なんで隠すんですか? みんな知っているのに。とにかく打ち合わせまでには引き締めておいた方がいいですよ? 今日は社長も打ち合わせに参加されるんですよね?」

「……そうだった」
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