ツンデレ社長の甘い求愛
「……分かり、ました」


どうやら私に選択の余地を与えてくれないようだし、会いたいって言っているのならお望み通り、会ってやろうじゃないの!

了承すると男性は「ありがとうございます」と丁寧に頭を下げた後、誰かに電話をし始めた。

そしてすぐに路肩に高級車が横づけされると、「お乗りください」と促してくる。

一体私に会いたいと言っている人は誰なのだろうか。

心当たりのない人物に不安を抱きながらも、言われるがまま乗り込むと、私に会いたい人物の元へと走りだした。


「どうぞ、こちらでお待ちください」

「はっ、はい……!」

あれから車に揺られること二十分。

窓の景色を眺めていると、都心部から高級住宅街に進んで行った。

そして辿り着いた先は目を疑うような大豪邸。

いや、ここの住宅街に建ち並ぶ家はどこも豪邸だけれど、案内された家は比ではない。

三階建ての豪邸は玄関から桁違いだった。

全面大理石で天井が高く、眩しいシャンデリアが明かりを灯していた。

それになにより、玄関だけで私の寝室分の広さはあるのではないだろうか。
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