ツンデレ社長の甘い求愛
ジロジロと見るのはみっともないと分かってはいるけれど、リビングに通されるまで何度もチラチラと見回してしまった。

通されたリビングだって家具が素人目で見ても分かるくらい、高価そうな物ばかり。

飾られているアンティークだって、ひとつひとつが高そうだ。

「失礼いたします」

「あっ、すみません」


そして出された紅茶が入ってティーカップも、ケーキが乗せられているお皿も眩しい。

これ、絶対高いやつだよね?

こんな家に住む人と私が知り合いとは到底思えない。

どうして私なんかに会いたいのだろうか。

疑問と緊張が増す中、意中の人物がやっと登場した。


「お待たせしてしまってすみません」

ドアが開かれたと同時に聞こえた声に、思わず椅子から立ち上がってしまった。

そしてこちらに向かってくる人物を捉えた瞬間、思わず目を見開いてしまう。

呆気にとられる私の前まで来ると、目尻に沢山皺を作って微笑んだ。

「こうやって直接お会いするのは初めてですよね、馬場かすみさん」

「は、はい……」
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