ツンデレ社長の甘い求愛
「会長、違うんです。あの日はたまたま社長とお会いして、我が社系列の飲食店へ視察に入っただけなんです。決してデートというものではっ……!」
「ハハハッ! さすがは大喜じゃ。デートにまで仕事を持ち込むとは。それに付き合ってくれた馬場さんは頭が下がります」
あぁ、違うんです。決して社長の恋人としての株を上げたいわけではないんです。
「会社でもよく大喜に意見して下さるそうじゃな。浅野から報告を受けておった。毎回戦略会議では、怯むことなく自分の意見を述べられる意思の強い女性だと」
「そう拝見いたしました」
あぁ、だめだ。
ますます誤解を確信に導いている気がしてならない。
「それで失礼を承知ながら、馬場さんのことを少し調べさせてもらいました。私はふたりの交際にも結婚にも大賛成じゃが、なんせ役員は頭の固い者ばかりでな。結婚はビジネスと考えておる者も少なくない」
「馬場様を見張る形になってしまい、申し訳ありませんでした」
すかさず浅野さんが謝罪してきたところで、ハッとする。
「もしかして最近感じていた視線って……」
チラリと浅野さんを見ると、再び頭を下げ「私です」と述べた。
そうだったんだ、最近やたらと感じていた視線はストーカーなんかではなくて、浅野さんだったんだ。
「ハハハッ! さすがは大喜じゃ。デートにまで仕事を持ち込むとは。それに付き合ってくれた馬場さんは頭が下がります」
あぁ、違うんです。決して社長の恋人としての株を上げたいわけではないんです。
「会社でもよく大喜に意見して下さるそうじゃな。浅野から報告を受けておった。毎回戦略会議では、怯むことなく自分の意見を述べられる意思の強い女性だと」
「そう拝見いたしました」
あぁ、だめだ。
ますます誤解を確信に導いている気がしてならない。
「それで失礼を承知ながら、馬場さんのことを少し調べさせてもらいました。私はふたりの交際にも結婚にも大賛成じゃが、なんせ役員は頭の固い者ばかりでな。結婚はビジネスと考えておる者も少なくない」
「馬場様を見張る形になってしまい、申し訳ありませんでした」
すかさず浅野さんが謝罪してきたところで、ハッとする。
「もしかして最近感じていた視線って……」
チラリと浅野さんを見ると、再び頭を下げ「私です」と述べた。
そうだったんだ、最近やたらと感じていた視線はストーカーなんかではなくて、浅野さんだったんだ。