ツンデレ社長の甘い求愛
いつもだったらみんなとどこか食べに行ったりしているけれど、仕事が押しているときなどは、近くのコンビニで簡単に済ませることもしばしば。
エントランスを抜け、エレベーターホールへ向かう途中、進行方向から一際目立つ影が視界に入り、咄嗟に慌てて背を向け身体を縮こませてしまった。
「社長、この後深山商事社長との面会が入っており、その後すぐに会長生誕パーティー会場へ向かってください。時間が押しておりますので、面会は手短に願います」
「わかった」
秘書とスケジュール確認をしながら通り過ぎていく社長に、すれ違う社員は立ち止まり頭を下げる。
もちろん私もバレないように、そっと頭を下げた。
あっという間に社長は通り過ぎていき、姿勢の良い背中は見えなくなる。
やだな、私ってばなに咄嗟に隠れようとしたのだろうか。
社内で社長とすれ違うことなんて、これまでにも数え切れないほどあった。
すれ違いざまに目が合っても、会話することなんて一度もなかったのに何に怯えているのやら……。
トボトボと重い足取りでオフィスへと戻っていき、昼食を食べるも再び頭の中は社長のことで一杯になってしまい、この日は残業することになってしまった。
「お先に失礼します」
「お疲れ様」
定時を過ぎると皆次々と上がっていく。
時刻は十九時前。
エントランスを抜け、エレベーターホールへ向かう途中、進行方向から一際目立つ影が視界に入り、咄嗟に慌てて背を向け身体を縮こませてしまった。
「社長、この後深山商事社長との面会が入っており、その後すぐに会長生誕パーティー会場へ向かってください。時間が押しておりますので、面会は手短に願います」
「わかった」
秘書とスケジュール確認をしながら通り過ぎていく社長に、すれ違う社員は立ち止まり頭を下げる。
もちろん私もバレないように、そっと頭を下げた。
あっという間に社長は通り過ぎていき、姿勢の良い背中は見えなくなる。
やだな、私ってばなに咄嗟に隠れようとしたのだろうか。
社内で社長とすれ違うことなんて、これまでにも数え切れないほどあった。
すれ違いざまに目が合っても、会話することなんて一度もなかったのに何に怯えているのやら……。
トボトボと重い足取りでオフィスへと戻っていき、昼食を食べるも再び頭の中は社長のことで一杯になってしまい、この日は残業することになってしまった。
「お先に失礼します」
「お疲れ様」
定時を過ぎると皆次々と上がっていく。
時刻は十九時前。