ツンデレ社長の甘い求愛
ドキッとしてしまった。
私がこの三日間、ずっと気になっていたことのひとつだから。
社長の名前は〝今井大喜〟なはず。
それなのに山本だと名乗っているのはなぜ?
「前社長と奥様、大喜様のお母様は大喜様がまだ幼い頃、今は亡き会長の奥さまからの厳しい教育や、会社役員からの陰口に耐え切れなくなり、離婚されてしまいました」
初めて聞く社長の過去の話に言葉を失ってしまった。
「では山本性は亡くなった社長のお母様の……?」
「はい、会社ではお立場上、今井と名乗っておりますが。社長は今も戸籍上は山本のままです」
そうだったんだ、だから〝山本〟だと私に名乗ったんだ。
「おふたりはそれはとてもお互いを想い合っておられまして。……私の目から見ても幸せいっぱいでした。奥さまも我慢して自分に出来ることをやられておりました。しかし、教育や陰口が大喜様にまで及んだことに耐え切れず、離婚という道をお選びになられたのです」
呆然としてしまう中、浅野さんは話を続けていった。
「奥さまとふたりっきりの生活は大喜様にとって正解でした。誰からも縛られることなく、自由に子供らしく過ごすことができたのですから。前社長も離婚してからも頻繁におふたりにお会いに行かれており、うまく関係を築けておられました。……しかし、大喜様が高校生になった頃、奥さまが倒られてしまい……、受けた診断は末期がんでした」
「そんな……もしかして社長のお母様は……?」
震える声で問いかけると、浅野さんは小さく首を縦に振った。
私がこの三日間、ずっと気になっていたことのひとつだから。
社長の名前は〝今井大喜〟なはず。
それなのに山本だと名乗っているのはなぜ?
「前社長と奥様、大喜様のお母様は大喜様がまだ幼い頃、今は亡き会長の奥さまからの厳しい教育や、会社役員からの陰口に耐え切れなくなり、離婚されてしまいました」
初めて聞く社長の過去の話に言葉を失ってしまった。
「では山本性は亡くなった社長のお母様の……?」
「はい、会社ではお立場上、今井と名乗っておりますが。社長は今も戸籍上は山本のままです」
そうだったんだ、だから〝山本〟だと私に名乗ったんだ。
「おふたりはそれはとてもお互いを想い合っておられまして。……私の目から見ても幸せいっぱいでした。奥さまも我慢して自分に出来ることをやられておりました。しかし、教育や陰口が大喜様にまで及んだことに耐え切れず、離婚という道をお選びになられたのです」
呆然としてしまう中、浅野さんは話を続けていった。
「奥さまとふたりっきりの生活は大喜様にとって正解でした。誰からも縛られることなく、自由に子供らしく過ごすことができたのですから。前社長も離婚してからも頻繁におふたりにお会いに行かれており、うまく関係を築けておられました。……しかし、大喜様が高校生になった頃、奥さまが倒られてしまい……、受けた診断は末期がんでした」
「そんな……もしかして社長のお母様は……?」
震える声で問いかけると、浅野さんは小さく首を縦に振った。