ツンデレ社長の甘い求愛
社長のことだ、ブチ切れてますます会長との仲が険悪になるのは目に見えているんだけど。

それにほら、社長には彼女がいるようだし。

それなのに私が恋人としてみんなに紹介……なんてことになったら、間違いなく切れると思う。


普段の社長から想像すれば、あり得ること。

なのにな。どうしてそう思うと胸がズキズキ痛むのだろうか。

社長と山本さんが同一人物だって確信に迫ってきたから?

だからこんなにも胸がザワザワと騒がしいのだろうか。


拳をギュッと握りしめてしまったとき、浅野さんはあっけらかんと言った。


「その点に関しましては馬場様自ら大喜様に、一ヵ月前の飲食店でのことを目撃されて勘違いされてしまい、無理やり連れてこられてしまったとお伝えください」

「え! 私がですか!?」

「それが一番スムーズな打開策かと」

いや、それはそうかもしれないけど!! でも私が言うの!?


オロオロしている間に車は目的の会場に到着したようで、ロビー前に車が停められた。

「馬場様、外でホテルの者がお待ちです。案内するよう指示しておりますので、急いでください」


「えっ!? いや、浅野さんちょっと待ってください」

まだ話は終わっていないのに!


「お時間ありませんので取り急ぎお願いいたします」
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