ツンデレ社長の甘い求愛
彼の意外な一面に触れたとき
「……これが私?」

「大変お似合いですよ」


大きな全身鏡に映っている自分を見ては、瞬きを繰り返してしまう。


あれからホテルの従業員にメイクやヘアセットをされるがまま。

断っても着替えまでもやってもらってしまった。

けれどすべてを終えた自分の姿を初めて目の当たりにした今、驚きを隠せない。


会社に行くときも毎朝メイクをした後の自分の顔を見ては、よく化けたものだなんて思ってしまっているけれど、今はその時の比ではない。


さすがはプロだ。
メイクとヘアースタイルだけでこんなにも印象が変わるなんて。


「ドレスも素敵ですね。お客様の雰囲気にピッタリです」

誉められると恥ずかしくなる。


会長が用意してくれていたのは、淡いピンクと白色が交ざったワンピース。

胸元が少し開きすぎなのが気になるけれど、大きなフリルのリボンが胸元にあしらわれていて上品さを醸し出している。

バッグもハイヒールもなかなか手が出せない憧れのブランドの物。

一体いくら使わせてしまったのだろうと気に揉んでしまう。
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