ツンデレ社長の甘い求愛
みんなスマートに飲んだり食べたりしながら談笑している。

こんな場所でひとり虚しく飲んだり食べたりするのってどうなのよ。

いいの? 恥ずかしくない?


初めて訪れた世界に気負いしてしまう。

こんなことになるなら、もっと由美ちゃんから色々な話を聞いておくべきだった。

由美ちゃんはこういった場所には何度も足を運んでいるし。

私には一生縁のない話だからと真面目に聞いたことがなかった。


必要最低限のマナーくらい習いなさいって散々言われてきたことを、しっかり守っていればよかった。

どうしたものかと立ち尽くしてしまっていると、ひとりのボーイが近づいてきた。


「よろしかったらお飲み物をどうぞ」

「え、あ……すみません」

差し出された物の中から、シャンパンを受け取るとボーイは一礼し去っていく。


なるほど、飲み物はこうやってもらえるんだ。

初めての経験にちょっぴり感動してしまいながら、シャンパンを口に含んだ。

「美味しい……」

そうだよね、こういったパーティーで出されるものは美味しいに決まっているよね。

そうなると料理の方も食べてみたくなる。
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