ツンデレ社長の甘い求愛
それを聞いて社長はクスクスと笑い出した。

「なんだ、その顔は。せっかく綺麗に着飾っているのが台無しだぞ」


いつの間にか再び私の視線は社長に釘づけになってしまった。

だって滅多に笑わない社長が笑っているんだよ？　年上の男性なのにまるで少年みたいに目尻に皺を作って。


ふと会長の笑顔と重なってしまった。

目尻に皺を作って笑うところとかそっくりだ。

不思議と社長の笑顔を見ていると私まで口元が緩んでしまった。


「社長、いつまで笑っているつもりですか？　それでは褒められているのか、けなされているのか分からないのですが」


「悪い、でもけなしているつもりはない。――素直に誉めているつもりだ」

笑いを堪えながら言うと、社長の手は真っ直ぐ私の頭に向かっていく。


「綺麗だよ、今日のお前は」


う、わぁ。なにこれ。

頭に触れる大きな手が優しくて胸の奥がむず痒い。

それに「綺麗」だなんて――。

意識しないようにと努めても無理。

こんなことされて言われて、ドキドキしない方がおかしい。
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