ツンデレ社長の甘い求愛
社長に恋人がいると知っているから。

本当は社長の隣にいるべき女性は私ではないから。


山本さんと社長が同一人物なら、もう二度とこんな素敵で煌びやかな場所で、肩を並べることなんてできない。

全てを明かせずにいる今だからこそ、そばにいられるんでしょ?


「本当に大丈夫ですから。……このままここにいさせて下さい」

久し振りに感じた胸のときめき。

この歳になって出会えた、もしかしたらありのままの私、すべてをまるごと愛してくれるかもしれない人。

社長が山本さんなら、もっとそばにいたい。


気持ちを伝えるように視線を逸らすことなく見つめていると、社長も私から視線を逸らすことなく見つめ返してくる。

どれくらいの時間、お互い見つめ合っていただろうか。


なにも言えずにいる中、横からバカにするような声が聞こえてきた。

「おいおい、おじいさまの誕生パーティーで何イチャついているんだよ、成り上がり社長様」

「見ていて目障りだぞ」

え、なに?

すぐに横を見ると、そこに立っていたのは社長と同年代の男性ふたり。

顎を上げ、まるで見下すような目を向けてきた。
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