ツンデレ社長の甘い求愛
浅野さんの話や従兄弟たちの態度。
社長はきっと私が想像するよりずっと辛い経験をしてきたんだと思う。
社長の家の事情は私には分からないし、それぞれ家庭ごとに色々な形があることは重々承知している。けれど――。
「だからと言って、社長を傷つけていいという権利があのおふたりには、あるのでしょうか?」
「――え?」
そうだよ、理由はどうであれあのふたりの言動はあんまりだ。
社長がなにをしたっていうのよ。
「あのふたりに言い返さなかったのには事情があるのかもしれません。――けれど、社長の下で働く部下として、先ほどの暴言に対して黙っていられるほど、私は人間できていません!」
「なにを言って……」
宣言すると、タイミングよく社長のスマホが鳴り出した。
私の様子を窺いながら社長はスマホを確認すると、目の色が変わる。
もしかしたら相手は大切な取引先なのかもしれない。
だったら今がチャンスだ。
回れ右をして立ち止まることなく、大股でパーティー会場へと戻っていく。
「おい、馬場――!」
背後から私を呼ぶ声が聞こえてきたけれど、向かう先は一直線。
会場内に入ると、すぐにあのふたりを探す。
すると先ほどいた場所でふたりは陽気にシャンパンを煽っていた。
迷いなくふたりの元へと進んでいった。
社長はきっと私が想像するよりずっと辛い経験をしてきたんだと思う。
社長の家の事情は私には分からないし、それぞれ家庭ごとに色々な形があることは重々承知している。けれど――。
「だからと言って、社長を傷つけていいという権利があのおふたりには、あるのでしょうか?」
「――え?」
そうだよ、理由はどうであれあのふたりの言動はあんまりだ。
社長がなにをしたっていうのよ。
「あのふたりに言い返さなかったのには事情があるのかもしれません。――けれど、社長の下で働く部下として、先ほどの暴言に対して黙っていられるほど、私は人間できていません!」
「なにを言って……」
宣言すると、タイミングよく社長のスマホが鳴り出した。
私の様子を窺いながら社長はスマホを確認すると、目の色が変わる。
もしかしたら相手は大切な取引先なのかもしれない。
だったら今がチャンスだ。
回れ右をして立ち止まることなく、大股でパーティー会場へと戻っていく。
「おい、馬場――!」
背後から私を呼ぶ声が聞こえてきたけれど、向かう先は一直線。
会場内に入ると、すぐにあのふたりを探す。
すると先ほどいた場所でふたりは陽気にシャンパンを煽っていた。
迷いなくふたりの元へと進んでいった。