ツンデレ社長の甘い求愛
近づくにつれて、ふたりとも私の存在に気づき互いに顔を見合わせている。

そんなふたりの元でピタリと立ち止まり、鋭い目で睨み必死に怒りを押さえながら言った。


「ご無礼承知で言わせていただきます!」

「は? なんだよ急に」

「つーかあんた誰? 大喜の女? だったら可哀想に。あんな奴と付き合っていても、なんの得にもなんねぇぞ」


先ほど同様バカにしたように笑うふたりに、怒りが込み上げてくる。

けれどここで感情の赴くまま文句を言ってしまっては、彼らの思う壺。ますますバカにされてしまいそうだ。


一度気持ちを落ち着かせるように小さく深呼吸をし、再度ふたりと対峙した。


「これは失礼いたしました。私、フラワーズ本社、第一企画部に所属しております馬場と申します。傲慢社長の下で働いている一社員でございます」


にっこり微笑んで言うと、これにはさすがのふたりも言葉を詰まらせた。


「先ほどは我が社の社長を罵ってくださいましたよね。どこの誰から聞いたか分かりませんが、噂を鵜呑みにしてそれを会社のトップである社長本人に伝えるなんて、おふたりは大人のくせに一般常識が備わっていないんでしょうか」

「なっ、なんだと!?」


これにはさすがにカチンときたらしく声を荒げられるも、こんなもんじゃ全然言い足りない!
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