ツンデレ社長の甘い求愛
「社長の気持ちも知らないで、よくも勝手なことが言えますね。おふたりには人の気持ちになって考える能力がないんですか? それに社長は誰よりも会社のこと、社員のことを想って下さっています。厳しいけれどそれが会社や私たちのためを思ってのことだって分かっておりますから! ……なにも知らないくせに社長を傷つけるようなこと言わないでください!」
捲し立てるように言った後、いつの間にか注目の的になっていたことに気づく。
いや、すっきりはした。
言いたいこと言えたし、私はなにも間違ったことを言ったつもりないから。でも、ふたりの身体が怒りでわなわなと震え出したのを目の当たりにすると、やってしまった感が否めない。
一歩後退り、たじろいてしまったその時だった。
「お前……っ! よくもこんなところで俺に啖呵切ってくれたな! うちの会社で働く一社員のくせにっ!」
怒りに身を任せ、ひとりがシャンパンの入ったグラスを私に向けてきた。
かけられる! 咄嗟に目を瞑ってしまったけれど――。
いつまで経っても冷たい感触はなく、その代わりに聞こえてきたのは、弱々しい声だった。
「大丈夫か?」
ゆっくりと目を開くと目の前には社長が立っていて、顔にかけられたのか髪は濡れていた。
「社長、どうして……」
唇を噛みしめてしまうと、社長は困ったように微笑んだ。
「バカ、部下を守るのは上司の務めだろ? さっきのお前の話、こたえたよ。悪かったな、お前に言わせてしまって」
捲し立てるように言った後、いつの間にか注目の的になっていたことに気づく。
いや、すっきりはした。
言いたいこと言えたし、私はなにも間違ったことを言ったつもりないから。でも、ふたりの身体が怒りでわなわなと震え出したのを目の当たりにすると、やってしまった感が否めない。
一歩後退り、たじろいてしまったその時だった。
「お前……っ! よくもこんなところで俺に啖呵切ってくれたな! うちの会社で働く一社員のくせにっ!」
怒りに身を任せ、ひとりがシャンパンの入ったグラスを私に向けてきた。
かけられる! 咄嗟に目を瞑ってしまったけれど――。
いつまで経っても冷たい感触はなく、その代わりに聞こえてきたのは、弱々しい声だった。
「大丈夫か?」
ゆっくりと目を開くと目の前には社長が立っていて、顔にかけられたのか髪は濡れていた。
「社長、どうして……」
唇を噛みしめてしまうと、社長は困ったように微笑んだ。
「バカ、部下を守るのは上司の務めだろ? さっきのお前の話、こたえたよ。悪かったな、お前に言わせてしまって」