ツンデレ社長の甘い求愛
「馬場……」

だめだ、拒否なんてできないよ。だって私は――……!


覚悟を決めギュッと瞼を閉じたときだった。

肩に重く圧し掛かってきた体重に軽くよろめき、咄嗟に両手で彼の身体を抱き留めた。


「え、社長……?」

彼の髪が頬に触れ、今どんな状況なのか瞬時に把握できない。


けれどかすかに聞こえてきた規則正しい寝息に、ある予感がよぎる。


ちょっと待って。
もしかして社長、寝ている?


「嘘でしょ」

クラッとしたしまいまたよろめいてしまった。


慌てて足を踏ん張らせ、社長の身体もしっかり支える。


信じられないけれど、これはもう完全に寝ているよね?

どうしてこのタイミングで寝るの!?


とっ、とにかく社長をどうにかしないと……!

さすがに男性の大きな身体を、ずっと支えられていられるほど力があるわけではない。

ましてや今の私が履いているのは、ヒールの高い靴なのだから。

すぐに助けを呼ぼうとしたとき。

「相変わらずアルコールには弱いのですね、大喜様は」
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