ツンデレ社長の甘い求愛
そうなるとさっさとこの場から退散したいところだけれど……。

ラブちゃんと一緒に寝室に戻ると、社長は仰向けの状態で眠っていた。


せめてジャケットを脱がせた方がいいよね? 皺になってしまうし、それにネクタイも外してあげた方がいい。

ゆっくりと近づきベッド横で床に膝をつき、社長の寝顔を眺めてしまう。

「無防備な寝顔……」


髪を下ろしているから余計にそう映るのかもしれない。

「本当に社長が山本さんだったんですね……」


ポツリポツリとつい話し掛けてしまう。

彼には届いていないと分かっているからこそ余計に。


「もし……私が“長日部です”って告白したら、社長はどう思いますか……?」

変わらず今までのように接してくれる?


おもむろに手を伸ばし、彼の前髪に触れてしまう。

そっと少しずつ乱れた髪を下ろしていくと、すっぽり目元が隠れてしまった。

さらにちょっと乱してボサボサにすると、よく知っている髪型が出来上がる。

これに眼鏡を掛けたら、まんま山本さんだ。


ますます認識させられていく。

社長は会社での私とオフの私を見て知っても、引いたりしませんか? ……もし、恋人がいなかったらこんな私をまるごと愛してくれる?
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