ツンデレ社長の甘い求愛
このまま好きでいても、いいですか?
本日の宿泊する部屋はビジネスホテルの一室。

バストイレ付きの一般的なお部屋で、広さもそれなりにある。


ただひとつ、非常に問題なのは部屋の中央に置かれているダブルベッド。

この部屋で一晩、社長とふたりで過ごすことになってしまったのだ。


耳を疑い、何度も確認してもらった。

けれどどうやら会長が根回ししてくれていたようで、社長と同じ部屋へと変更されていたのだ。


すぐに部屋を変更してもらおうとしたけれど、バッドタイミングで今夜は近辺のドームでアイドルのコンサートが行われたらしい。


おまけに夕方から強風と大ぶりの雨が降り出し、空の便は欠航。


足止めを食ってしまった観客やビジネスマンで満室御礼。……もちろん近辺のビジネスホテルも同じく満室。

漫画喫茶までいっぱいだと聞いた。


その趣旨を社長に伝えると、さすがの社長も顔面蒼白。

とりあえず部屋で話そうとなり来たわけだけど……。


お互い立ち尽くしたまま、茫然としてしまう。

本当にどうしよう、これ。

他も満室だし、飛行機は飛んでいないし。

社長と出張を共にできて嬉しいけれど、ここまで一緒を望んだ覚えはない。

緊張と戸惑いで変な汗が流れてしまいそうになる。

沈黙が続く中、社長が口を開いた。
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