ツンデレ社長の甘い求愛
「社長なら私の性格をご存知ですよね? 申し訳ありませんが引き下がりませんよ」

すぐに社長は言い返そうと目くじらを立てたものの、思い留まりまた深い溜息を漏らした。


「じゃあお前はどうしたんだ。もし仮に探しに行ってどこもなかったら、どうするつもりなんだ?」

「それはっ……!」

これにはすぐに言葉が出てこない。


こんな大嵐の中、社長にホテルを探させるわけにはいかない。

けれど打開策は見出せない。

どうすればいいんだろう、これ。


「元々馬場がひとりで来るはずの出張だったんだ。こうなったのもじいさんの責任でもあるしな。だからお前は気にせずこの部屋を使ってくれ。俺ならどうにでもなるから」

「でも……」

「いいから」


優しく言われてしまうと、今度は反発出来そうにない。


一緒に部屋で一晩共にするのはマズイことは分かっている。

けれどもうこの状況では仕方ないのではないのだろうか……。


お互い好きでひとつの部屋で寝るわけではないし、なにより私と社長は上司と部下の関係でしかないし、社長には彼女がいる。

私のことなんて女として見ていないはず。
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