ツンデレ社長の甘い求愛
「俺が言っていた大切な存在は、お前も会っただろう? ……愛犬のラブだ!」

「…………はい?」


予想だにしない話に、目が点になる。

すると社長は片眉を上げ、再度同じ言葉を繰り返した。


「だからラブのことだって言っているんだ! ……第一この俺を好きになる物好きなどいるわけないだろう。それくらい察しろ」


「なっ……! そんなの察せるわけないじゃないですか!」


カッとなり思わず言い返してしまった。

だってこんな話ある?

社長の言う大切な存在がまさかのラブちゃんだったなんて……!


「あのときの社長、かなり信憑性のある顔で語っていたじゃないですか!」

「悪かったな、俺にとってラブはそういう存在なんだ!!」


開き直って社長も言い返してくる。

「だったら最初からそう言ってくださいよ!」


おかげで私、かなり悩まされたんだから! それに会長にも言ってしまったじゃない。……社長のこと、諦めなくちゃって思っちゃっていたじゃない。


「言えるか! お前に男がいるって自慢げに言われて腹が立ったんだ」

「腹が立ったって……!」

いや、私も人のこと言えない。

社長と同じ嘘をついてしまったのだから。
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