ツンデレ社長の甘い求愛
言葉に詰まってしまうと、社長は思い出したように捲し立ててきた。


「そうだ、お前こそ男がいるのに不可抗力とはいえ、俺と同じ部屋で一晩過ごすわけにはいかないだろう！　……やっぱり俺が出ていく」

「ちょっと待ってくださいっ……！」


止める暇も与えられず、身体をドアの前から退かされ社長がドアノブに手を掛けたときだった。

室内に備え付けられている電話の内線が鳴り出した。

その音にふたりとも驚き、顔を見合わせてしまう。


「……俺が出る」

鳴りやまない内線に観念し、社長が電話に出てくれた。


「はい。……え、本当ですか？」

けれど電話に出た社長の表情は一変。

嬉しそうな顔を私に向けてきた。


「はい、わかりました。すぐフロントへお伺いします」

そして電話を切ると、すぐに社長は話してくれた。


「馬場、一部屋キャンセルが出たらしい」

「え、本当ですか？」

「あぁ。俺はそっちの部屋に移るから。すぐに手続きしてくる」
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