ツンデレ社長の甘い求愛
「それじゃまた明日。予定通り九時にロビーで」

「あ、はい！　お疲れ様でした」


出て行く社長に慌てて頭を下げると、「お疲れ」と言い残し、社長は今度こそ本当に部屋から出て行った。


一気に静まり返る室内に、自分の心臓の鼓動が響いているんではないかと思うほど高鳴っている。


トボトボと部屋の中へ戻っていき、ベッドに腰掛け一点方向をジッと見つめてしまう。


「……社長には彼女がいない……？　大切な相手がラブちゃん……？」

言葉にしては何度も頭の中を駆け巡っていく。


信じられなくてもう一度社長に聞いてしまったけれど、確かに社長は彼女いないって言っていたよね？


「嘘、でしょ？」

両手で口を覆い、そのまま仰向けに倒れ込んだ。


蛍光灯の眩しさに瞼を閉じ、足をバタバタさせてしまう。


じゃあ私、諦めなくてもいいんだよね？　ずっと社長のことを好きでいてもいいんだよね？


思いがけない真実に戸惑いつつも、嬉しさにこの日の夜はなかなか寝付くことができなかった。
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