ツンデレ社長の甘い求愛
朝から罵られているというのに、それさえも嬉しく思ってしまう私はどこかおかしいのかもしれない。


「今日は挨拶周りと、支社工場の視察だったな」

「あっ、はい! そうです。それと十五時の便まで色々と特産品を見て回ろうかと……」


大久保さんのバターのように、自社製品に是非使用したい逸品をできれば見つけたいし。


すると社長は少しだけ口角を上げ「フッ」と笑った。

「馬場らしいな。普通二日目は観光するものだっていうのに」

「それはっ……! お褒めいただきありがとうございます」


なにそれ、ちょっとバカにしたような誉めているような、曖昧な微笑みは!

一々反応してしまい、胸の高鳴りを押さえるのに必死だ。


「だったらサクサク行こう。俺も見て回りたいし好都合だ」

「……はい!」

さすが仕事熱心な社長だ。

それからチェックアウトを済ませ、時間の許す限り巡っていった。
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