ツンデレ社長の甘い求愛
「社長……お願いですから、今すぐに病院へ行ってください」
繰り返し切願すると、社長は呆れたように深い溜息を漏らした。
「だから俺は行くつもりはないと、言っているだろう?」
強い口調で言われた瞬間、叫ぶように言ってしまった。
「会長が心臓を以前から患っていて、余命残りわずかだと知ってもですか!?」
空港のロビー中に響く自分の声。
途端に社長は目を見開き、固まってしまった。
「……冗談、だろ?」
そして引きつる顔で声を震わせた。
「冗談でこんな話をするわけないじゃないですか! ……浅野さんから社長には言わない約束で聞いてしまったんです、会長の容態のことを」
「まさか――……」
社長にとってみたら衝撃的な話だろう。口元を手で覆い、考え込んでしまった。
本当はもっと落ち着いた場所で話すべきことだけれど、今は時間がない。
会長が今、どんな容態か分からない状況だからこそ、社長には早く向かって欲しいから。
「社長が思っている以上に、会長は社長のことを大切に想っていますよ。おふたりは似過ぎです! 相手のことを思い過ぎて、素直になれなくて肝心な話をせずにいるんですから。……社長だって会長のことを大切に想っているんですよね? だから病院へ行きたい気持ちを堪えて、仕事に行こうとしているんですよね?」
繰り返し切願すると、社長は呆れたように深い溜息を漏らした。
「だから俺は行くつもりはないと、言っているだろう?」
強い口調で言われた瞬間、叫ぶように言ってしまった。
「会長が心臓を以前から患っていて、余命残りわずかだと知ってもですか!?」
空港のロビー中に響く自分の声。
途端に社長は目を見開き、固まってしまった。
「……冗談、だろ?」
そして引きつる顔で声を震わせた。
「冗談でこんな話をするわけないじゃないですか! ……浅野さんから社長には言わない約束で聞いてしまったんです、会長の容態のことを」
「まさか――……」
社長にとってみたら衝撃的な話だろう。口元を手で覆い、考え込んでしまった。
本当はもっと落ち着いた場所で話すべきことだけれど、今は時間がない。
会長が今、どんな容態か分からない状況だからこそ、社長には早く向かって欲しいから。
「社長が思っている以上に、会長は社長のことを大切に想っていますよ。おふたりは似過ぎです! 相手のことを思い過ぎて、素直になれなくて肝心な話をせずにいるんですから。……社長だって会長のことを大切に想っているんですよね? だから病院へ行きたい気持ちを堪えて、仕事に行こうとしているんですよね?」