ツンデレ社長の甘い求愛
亜美ちゃんを始め、メールを見たみんなは立ち上がり部長に詰め寄った。


「わっ、分かった。今すぐ総務部へ連絡を入れるから」

みんなに囲まれ、部長は慌てて内線をかけた。

それを見届けた後、亜美ちゃんは私の元へ駆け寄ってきた。


「かすみ先輩、大丈夫ですか?」

「うん、ありがとう。それよりも……」


ダメだ、言葉が続かない。

みんなの気持ちが嬉しいからこそ聞けないよ。


「あの写真を見て、幻滅しなかった?」なんて――。


けれど言葉を詰まらせた私に、亜美ちゃんは何かを察したのか私の両手をギュッと握ってきた。


「言っておきますけど、かすみ先輩。……ここだけの話、私もメイクを落としたら別人になっちゃうんです」

「――え」


キョトンとする私に亜美ちゃんは話を続ける。


「それに私だけじゃありませんよ。女子はけっこう多いですよ、メイク落とすと別人になっちゃう人。ね? 皆さん」


亜美ちゃんが問いかけると、女子社員たちは目を見合わせ気まずそうに頷き始めた。


「お恥ずかしいですが、私も同じくメイクでかなり誤魔化しています」

「私も……」

嘘……本当に? ただ私に気遣っているだけじゃないの?

けれど私の思惑は違ったようで、みんな頷くばかり。
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