ツンデレ社長の甘い求愛
「俺の彼女も、スッピンは別人だぞ」

「あ、俺の奥さんも」


今度は男性社員たちも口々に言い出した。

そしていつの間にか電話を終えた部長も「ゴホン」と咳払いをした後、挙手をして言い出した。


「私の家内も右に同じく」

次々とカミングアウトされていく話に、目を見張ってしまう。


だってこんなこと信じられる?

ずっとオフ状態の私を見られないために、必死に隠してきたっていうのに。


呆然とする私に、亜美ちゃんは再度手をギュッと握りしめ訴えてきた。


「なので気にしないことが一番です!! みんな誰だって会社での顔とプライベートの顔は違いますよ」

「亜美ちゃん……」

その後もみんな亜美ちゃん同様、気にするなと励ましてくれた。


声を掛けられるたびに、目頭が熱くなってしまう。

そうだよね、みんな良い人達ばかりの職場だもの。無理に隠すことなかったんだ。

なんだ、それならみんなとの飲み会にも積極的に参加すればよかった。

今までどれだけ私、損してきたんだろう。


「みんな、ありがとうございます」
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