ツンデレ社長の甘い求愛
トクントクンと胸の鼓動が忙しなく鳴る中、社長を見据えた。

「あの……それは私のすべてを知った上でですか? だって私、化粧落としたらあんな顔ですし!」


必死に訴えると、社長はクスリと笑った。

「それを言ったら俺も同じだろ? お前こそいいのか? 普段の俺は冴えない男なのに。おまけにラブを溺愛する愛犬家だぞ?」


「もちろんです!」


即答してしまうと、社長は目を丸くさせた後、一気に顔をクシャッとさせ笑った。

あどけない笑顔に視線が釘付けになってしまう。


「ずっと自分の気持ちの正体がなんなのか、分からずにいたんだ。……お前のことをもっと知りたいと思っていた。不思議となんでも話せて一緒にいると楽しくて。……それはきっとお前は俺のすべてを受け入れてくれていたからだ」


甘い瞳が私の胸を射抜く。

大きな手がふたつ、私の頬を優しく包み込んだ。


「休日も仕事の日も、どちらもお前と過ごしていたんだもんな。そりゃ惹かれて当たり前だ。……好きだよ、会社で仕事を頑張るお前も、家でカイくんとリラックスした姿で過ごすお前も。全部が愛おしい」


「社長……」


「これからもずっと一緒にいたいと思えるほど、好きでたまらない」


社長っ……!

感情は昂ぶっていき、涙がぽろぽろと零れていく。

そして我慢できず、気づいたら自ら社長の胸の中に飛び込んでいた。
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