ツンデレ社長の甘い求愛
けれどそんな姿も愛らしいと思えてしまう俺は、相当かすみに惚れているのかもしれない。

「ワンワンッ!」

「あ、こらラブ!」


勢いよくリードを引っ張り、一瞬の隙をついて勝手にリビングに上がり込んでいくラブ。

咄嗟に声を上げるも、ラブは聞く耳持たず一直線にリビングへと走っていく。

「……悪い」

自分でもわかってはいる。

ラブが可愛いあまり、少々しつけが行き届いていないことに。

それに比べてかすみはカイくんへのしつけは、しっかりしていると思う。

だからこそ申し訳ない気持ちで埋め尽くされていく。


だが、かすみは怒るどころか、どこか嬉しそうにクスクスと笑い出した。

「謝らないでください。カイくんもラブちゃんに会いたくて、ほら」

「え?」

かすみが指さす方向を見れば、カイくんがリビングのドアをガリガリしていた。「早く開けろと言うように」


「カイくんも充分お行儀が悪いんで、リビングで待機させていたんです」

そう言いながらかすみはリビングに続くドアの方へ向かい、二匹に急かされるようにドアを開けた。
< 330 / 347 >

この作品をシェア

pagetop