ツンデレ社長の甘い求愛
シャワーを止め、脱衣所に行くとそこには心配そうな二匹の姿があった。

「ビッ、クリした。ちょっと待て。カイくん、今は勘弁してくれよ」


ここでいつもの如く威嚇され、突進されたら大変だ。

バスルームにいるかすみに早くタオルを持っていき、服ごと濡れてしまった身体を拭いてやらないと、風邪を引かせてしまいそうだ。

けれどそんな俺の願いも虚しく、カイくんはジリジリと俺の元へ近づいてくる。だが――。


「クゥ~ン……」

「――え」

威嚇されることも突進されることもなく、俺の足元に顔をこすりつけてきた。

「カイくん……?」


いつもと違う態度も思わずしゃがみ込み、彼と向き合ってしまうと、カイくんはまるで『かすみを助けてくれてありがとう』と言うように、頬を舐めてきた。


しばしの間、茫然としてしまう。

まさかこのタイミングで仲良くなれるとは、思わなかったから。

でもそう、だよな。
カイくんも心配だったよな、かすみがやけどを負って。
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