ツンデレ社長の甘い求愛
「どういたしまして」

彼に応えるように頭を撫でると、「ワンッ!」と嬉しそうに吠えたものだから、俺も嬉しくて笑ってしまった。


「あのー、すみません大喜さん。タオル頂けませんか?」

幸せを噛みしめていると、背後から聞こえてきた声にハッとする。

「悪い」

すぐに立ち上がり、タオルを持ってバスルームへ行くと二匹も後をついてきた。


「大丈夫か、かすみ」

声を掛けるも、彼女は俺のそばに寄り添うカイくんを見て目を丸くさせている。

無理もないよな、俺だってびっくりだ。

いつまでも驚き固まるかすみの姿が可笑しくて、クスリと笑ってしまった後、得意気に言った。


「カイくんと俺の方が仲良くなったら、ごめんな」

からかうように言うとかすみは「そんなわけありません」と言いながら、嬉しそうに顔を綻ばせた。

これからも俺は愛しいかすみと、何気ない日常に幸せを感じながら過ごしていけるだろう。

二匹のかけがえのない愛犬と共に――。
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