ツンデレ社長の甘い求愛
正論とばかりに頷く会長の横で、浅野さんは我関せず状態で優雅に珈琲を啜っている。
「何より先が短い老いぼれじゃ。可愛いひ孫を抱いて死にたい」
「なにが先が短いだ。浅野から聞いているぞ。この前の検査で驚異の回復力を見せているって医者が言っていたと」
大喜さんがばっさり言うと、会長は片眉を上げ渋い顔をした。
「むっ、聞いておったか。……まぁ、人間の身体とは不思議なものじゃな。医者が驚くほど良くなってしまうのだから」
そんな会長に大喜さんは終始呆れっぱなしだけれど、私と浅野さんは目を合わせ口元を緩ませてしまった。
会長は大喜さんと私との結婚が決まってからというもの、心臓を患っているというのが嘘のように元気になっていった。
最初は私たちの結納に出席するため、結婚式に出席するため。
そして今はひ孫を抱くため。
浅野さんがお医者さんから聞いた話だと、「人間、目標や生き甲斐があると驚異的な回復力を見せることもある」とか。
私も大喜さんも驚いたけれど、嬉しくないわけがない。
「何より先が短い老いぼれじゃ。可愛いひ孫を抱いて死にたい」
「なにが先が短いだ。浅野から聞いているぞ。この前の検査で驚異の回復力を見せているって医者が言っていたと」
大喜さんがばっさり言うと、会長は片眉を上げ渋い顔をした。
「むっ、聞いておったか。……まぁ、人間の身体とは不思議なものじゃな。医者が驚くほど良くなってしまうのだから」
そんな会長に大喜さんは終始呆れっぱなしだけれど、私と浅野さんは目を合わせ口元を緩ませてしまった。
会長は大喜さんと私との結婚が決まってからというもの、心臓を患っているというのが嘘のように元気になっていった。
最初は私たちの結納に出席するため、結婚式に出席するため。
そして今はひ孫を抱くため。
浅野さんがお医者さんから聞いた話だと、「人間、目標や生き甲斐があると驚異的な回復力を見せることもある」とか。
私も大喜さんも驚いたけれど、嬉しくないわけがない。