ツンデレ社長の甘い求愛
傲慢社長の意外な素顔?
「おい、原材料価格、本当にこれでいけるのか?」

「はっ、はい! もちろんでございます!!」

朝一で始まった開発部との打ち合わせ。穏やかな空気の中始まったはずだった。

なのに開始十分、穏やかな空気を一瞬で吹き飛ばす台風が上陸してきたのだ。

乗り込んできたのはもちろんこの方、今井社長。

参加予定などなかったのに、どこで聞きつけてきたのやら時間があるからと言ってズカズカ入ってきたのだ。

だからほら、開発部の人「ございます」って少しイントネーションのおかしい敬語使っちゃっている。

打ち合わせは私と主任、そして開発部から一名の三名で、行われるはずだったのに。


「これからの時期、ゲリラ豪雨や台風が来るんだぞ? それも踏まえているんだろうな」

「えっと、ですね……!」

いつもの調子でギロリと睨まれ、開発部の方は慌てて書類を捲り始めた。


分かる、気持ち。

答えられる質問なのに、社長が威圧的すぎる目で睨むものだから、頭の中がパニックになっちゃうのよね。


私も最初はそうだった。

社内戦略会議で初めて社長と対峙したときは、しっかり準備してきたはずなのに伝えたいことの半分もプレゼンできなかったもの。


けれど今の私は違う。

社長が毎回免疫をつけてくれたおかげで、ちょっとばかり罵声を浴びせられても睨まれても、へこたれなくなったんだから。
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