ツンデレ社長の甘い求愛
今週は新商品に関して色々と予定が入っているから忙しくなるというのに、初日からこんな調子では金曜日まで体力が持ちそうにない。

ちょうど退社ラッシュなようで、エレベーターを待つ列ができていた。

企画部があるのは六階。

上から乗り込んでくる社員が多いのか、到着しても数人しか乗り込めずなかなか思うように列は進まない。


うーん、この待っている時間が非常に無駄な気がしてならない。

ここで並んで待つより、非常階段を駆け下りていった方が早い気がする。


思い立ち、並ぶ列から離れエレベーターホール付近にある非常階段に繋がるドアを開けた。

絶対階段使った方が早いよね。

カツン、カツンと音を響かせて階段を下りていく。


上りだったらさすがにきついけど、下りなら楽勝だ。
それに週末はカイくんの散歩で、歩き回っているし。


帰宅してからのことを考えながら階段を下りていると、上の方から勢いよく下りてくる足音が聞こえてきた。

やっぱり私と同じことを考える人はいたんだと、妙に親近感を沸いてしまったのも束の間。

下りてきた人物を何気なく見てしまった瞬間、足が止まってしまった。
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