ツンデレ社長の甘い求愛
感情の赴くまま言いたい気持ちを必死に堪え、笑顔を取り繕った。


「すみません、今朝の打ち合わせで私のどの言動がダメだったのか、分かるように教えていただいてもよろしいでしょうか?」

はっきり言って、今朝の打ち合わせで自分に落ち度なんてなにひとつなかったと思っている。

社長に対しても間違ったことは言っていないはず。


さっきまで規則的に響いていた階段を下りる音が、ピタリと鳴り止んだ。

三段下から私を見上げる社長の力強い瞳が、まるで私の心を射抜いたように動けなくなってしまう。

いつものことながら、すごい迫力だ。

この瞳で見られたら、思考回路が止まってしまうよ。


ごくりと生唾を飲み込んだとき、社長は口を開いた。

「間違いに気づけていないところがだめだって言っているんだ」

「……え?」


間違いに気づけていない? 私が?

さらに社長は続けた。

「それではお前、いつまで経っても今の状態から成長できないぞ」

憐れんばかりの眼差しに、胸がズキッと痛む。
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