ツンデレ社長の甘い求愛
若干ラブちゃんの勢いに押され気味の山本さんは、彼女を必死に押さえながら顔をこちらに向けた。

「あの……お褒めいただいて恐縮なのですが、私はその……山本さんが思っているような人間じゃないですよ?」

「え?」

突然のカミングアウトに彼は目をキョトンとさせた。

山本さんの顔を真正面で見ることができず、ひたすらカイくんの頭を撫でながら捲し立てていった。


「いつも周りが見えていなくて、職場では後輩が成長できるチャンスを潰してしまうような、だめ先輩でして……。さっきだってある人に助言してもらえたので、出せた言葉なんです。いつもの私だったら、山本さんの気持ちを汲み取ることなく、ズケズケと聞いてしまっていたと思います」


五日前に言われたのに、いまだに頭から離れてくれず、深く私の心に残っている社長の言葉。

それがあったからこそ、山本さんを傷つけずに済んだだけ。

社長に言われなかったら、思い留まることなんてできなかったから。


「私、いつも自分の言動は間違っていない。これが正解なんだって疑ってきませんでした。自分がすべてやるのがベストだって決め込んでいて……。それじゃだめだってことに全然気付けなかったんです」
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