ツンデレ社長の甘い求愛
言葉にして思い返すと、今までの自分の言動すべてが恥ずかしい。
過去に戻れるものなら戻りたい。
勘違いしている自分に言ってやりたいくらいだ。


次第に曇っていく表情を見て感じ取ったのか、カイくんが悲し気に鼻を鳴らした瞬間、我に返る。

やだ、私ってばなに話しちゃっているんだろう。

出会ってまだ一週間しか経っていない彼に、こんな話しちゃうなんて……。

山本さんは口を挟むことなく聞いてくれているけれど、きっと困っているよね。


「すみません、忘れてください」

慌てて立ち上がり謝ったけれど、いまだに山本さんの顔が見られない。

居たたまれない気持ちで埋め尽くされていき、このままカイくんを連れて逃げてしまおうか。

そんな考えが頭をよぎったとき、山本さんの影が揺れた。


「あの、顔を上げてください」

私と同じように立ち上がった彼に言われるがまま顔を上げると、相変わらず前髪と眼鏡で顔がよく見えない顔を視界が捉える。

猫背な彼は少しだけ屈み、言葉を選ぶように話し出した。
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