ツンデレ社長の甘い求愛
「あの、さっきの言葉本当に嬉しかったんです。それに前向きな発想がすぐに出る山本さんがすごいなって思って……。なので山本さんは私に良いことを言ったと胸を張ってください!!」


思い付くがままの言葉を口にすると、彼は少しの間ポカンと口を開けたまま茫然としてしまった。
けれどそれもたった数十秒。

途端にその表情は崩れ、口元を綻ばせた。


「照れますね、なんか。……さっきからお互いのこと褒め合ったりしていますし」

ポリポリと頬を人差し指で掻きながら話す姿に、堪らず笑ってしまった。

「確かに。……これは照れますね」

次第に彼も私につられるように、声を上げて笑い出した。

少しだけ話しただけなのにな。

たった数十分の会話で彼のことが知れて、分かり合えたような……そんな気がした。


「そろそろ帰りますか」

「そうですね」

カイくんたちをたっぷりと遊ばせていると、時刻はそろそろお昼間近。

二匹が寄り添うように歩くものだから、自然と私と山本さんも肩を並べて歩く形となってしまった。


歩道には新緑が生い茂っており、風が吹くとさわさわと音を立てて揺れ動く。

春真っ盛りの今を感じられる心地よい日差し。

そして隣を歩くのは、最高に癒される彼――。
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