ツンデレ社長の甘い求愛
彼のおかげで気持ちは落ち着いた。
そもそも最初からおかしな話だった。

どうして私が今井社長にドキドキしてしまっていたのだろうか。

どうして職場で顔を合わさないことなんて、ザラにあったというのに、無意識のうちに探してしまっていたのだろうか。

先週の私は本当にどうかしていたのだ。それに――。


ふと頭に浮かぶのは山本さんの顔。

すると胸は温かくなりトクンと音を立てた。

土曜日、もしかしたら私は山本さんに惹かれているのかもしれない。
久し振りに恋がはじまってしまったのかもしれない……と意識してしまった。


おかげで暇さえあれば山本さんのことを考えてばかりだった。

出会って一週間でどうなの? って思ってしまったけれど、もしかしたら私は出会ったあの日から彼に惹かれていたのかもしれない。

だって素の私を見ても表情ひとつ変えなかった人は、初めてだったから。


そこからグルグルと考え込んだ週末。

社長にドキドキしてしまったのは、山本さんに惹かれていたからかもしれない。

恋愛するのが久し振りすぎて、無駄にときめいてしまったんだ! と必死に自分に言い聞かせてみたり、山本さんのことを思うと、胸が熱くなったり。
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