ツンデレ社長の甘い求愛
久し振りに感じた胸の高鳴りに、四苦八苦していた。

「かすみ先輩、聞いてます?」

「――え?」

亜美ちゃんの声に現実に戻ってくると、彼女は眉をひそめて私を見ていた。


「えって、やっぱり聞いていなかったんですね! ここのやり方をもう一度教えてくださいって言ったのに」

可愛く頬を膨らませる亜美ちゃんに、慌てて謝った。

「ごめん、ちょっと考え事しちゃっていて……」

しまった、なにやっているのよ私。
仕事中に他のことを考えちゃうなんて。しかも恋愛事って……高校生じゃあるまいし。


気持ちを切り替え、再度説明しようとしたとき亜美ちゃんが、「もしかして……」と前置きすると、疑いめいた目で聞いてきた。

「かすみ先輩ってば仕事中に彼氏さんのことを考えていたんですか?」

「……へ?」

一瞬フリーズしてしまうも、会社では彼氏がいる設定になっていたことを思い出し、首を縦に振った。

「あっ、そうなの! ごめんね、週末があまりに楽しかったらつい……」
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