零 ―全ての終わりと始まり―
「・・・さて、どうするか」

俺は呟きながら、頭の中で考える。
―――父上は、“君臨者”なら誰でも見境無く捕らえる。
それが、例え俺だとしてでもだ。
宿した十字架を恨んではいないが、さて・・・

「なーに考え事してんだよ?」

「!!」

突然聞こえたその声に俺が慌てて振り向くと・・・

「レ、クト・・・」

「何だよその驚いたような顔は」

いや、驚いてるんだよ、実際。
・・・というか・・・

「何でお前はここにいる?」

「あ~?あぁ、そのことなんだけど・・・」

言いにくそうにレクトは呟き、レクトはファロルに小さく呟いた。

「ちょっとここじゃ言えない。出るぞ」

それでファロルはハッとした。
“君臨者”の話だ。
いや、もっと正確に言うなら・・・

この十字架の話か。

「あぁ。分かった」

ファロルは頷き、レクトの後について行った。
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