零 ―全ての終わりと始まり―
「お前・・・っ!」


―――えぇ。いきなりごめんなさい。


「・・・あのさ」

―――そうよ。


「まだ何も言ってな・・・」


―――聞かずとも分かるわ。
 「お前は“君臨者”か?」・・・違う?


「・・・あぁ、そうだ。分かっているなら話は早い。
“君臨者”が俺に何の用でこんな物を?」

ファロルは尋ね、自分の右手に刻まれた十字架に目線を落とした。

―――光を取り戻す為よ。


「違うな。質問が悪かった。何で俺なんだ?」

―――貴方にしか、私の声は届かなかった。
 それは、貴方が私の光に気付いてくれたということだから。

「・・・セキル」

―――なぁに?


「・・・光を取り戻すって、どういうことだ?」

―――・・・闇を、壊すということよ。


その声はどこか儚げで・・・
気のせいかもしれないが、とても哀しそうで、寂しそうだった。


「俺は、何をすればいいんだ?」

―――それは・・・


何故か言いよどみ、しかし決心したのか、少女・・・セキルは再び話し始めた。

―――この世界のどこかにある、魔石を壊せばいいの。

「魔石?」

―――ええ。少し、昔話を聞いて。
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