零 ―全ての終わりと始まり―
・・・昔々、世界は大戦争を起こしていました。
理由は・・・馬鹿馬鹿しい種族争いから始まったのです。
人間と・・・“君臨者”の争いでした。
人間とは異なる能力を持つ“君臨者”を忌み嫌い、人間が一方的に戦争を仕掛けたのです。

しかし人間は愚かにも、その力の差を分かっていませんでした。
比べ物にならない力を持つ“君臨者”に苦戦を強いられ、人間は恐ろしい程の死者が出たのです。
そしてそれは・・・“君臨者”もだったのです。
元々数の少ない“君臨者”はこの戦争により、更に数を減らしてしまいました。
徐々に両者とも苦しい戦いになっていき、人間のある科学者が、「戦争を終わりにしよう」と創ったものがありました。

それが「魔石」です。

この魔石は強大な力を持ち、多大なる影響を及ぼしました。
「戦争を終わりにしよう」と創った魔石ですが、造る際、あまりに強大なエネルギーを抑えきれず、その科学者は魔石に取り込まれてしまったのです。
皮肉にもその科学者の願いは届かず、その魔石は人の闇・・・つまり悪い心を食らい、成長していったのです。
戦時中、相手を恨む気持ちを大いに食らった魔石は、誰の手にも負えないほど、悪しきエネルギーに満ち溢れていました。


そんな時でした。


名も無き英雄が何処からか現れ、魔石を封印したのです。
彼は人間と“君臨者”の間に生まれた、混血種でした。
何人にも心を許されず、また、彼自身も誰にも心を許さなかった彼は、魔石のエネルギーである悪意もまた、持っていなかったのです。
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