嫌いな教科の担当は私の好きな先生?!
テスト前のお呼び出し②
帰りのHRが終わり、足早に物理室へと向か
う。
まだ早かったようで、山田先生は来ていな
かった。
「まだかなー」と呟き、壁に寄りかかると
スマホに目を落とす。
しばらくして顔を上げると目の前に山田先
生が立っていた。
「うわっ、びっくりした」
思わず声が出た。
「お前どんだけ夢中なってんの」
と笑いながらも鍵を開ける先生。
「入れ」と一言だけ言い、いつものキャス
ター付きの椅子に座る。
「失礼しまーす」と言いながらこの前と同
じ一番前の席に着く。
プリントを渡され、少し解いてみる。
でもさっぱり分からない。
「お前、物理嫌いか?」
突然先生に言われ顔を上げる。
「え、まぁ…」
曖昧な返事をした。
「そっか」と言った先生の顔はどこか悲し
そうだった。
それからしばらく沈黙が続いた。
全く分からないプリントとにらめっこして
いると、先生が
「分からんだろ?教えてやるよ」
そう言い椅子ごとこっちに移動してきた。