さくらの空
「おまたせですっ」
私服に着替えた千秋がぱたぱたと上から下りてきた。
「場所変えます?」
「ん~別にここでもいいよ」
「じゃあ遥さん、私にも一つコーヒーください」
そう言いながら俺の目の前の席に座った。
「今日はなんか用なんですか?」
用がなかったら、わざわざ呼びにはこない。
「例のメールの返信が来たんだよ」
「へー」
「それだけかよ?もっと驚くだろ、普通」
「えっ、あ、そうですね。わー、すごーい」
「・・・・・お前、もしかして忘れてたとか・・」
「ははは、まさかソンナコトナイデスヨ」
そこでなぜカタコトになる。
「絶対忘れてたな・・」
あきれながら、俺はプリントアウトしたメールを机の上に投げた。
「で、どう思う?この内容について」
受け取った千秋はふむふむとメールを一読し、
「これは事件ですぜ、旦那。って何するんですか、イタイぢゃあないですかぁ・」
「気にするな、ただのでこぴんだ」
おでこを押さえながらうずくまる千秋を一瞥し、
「柊さんとやらにはどうしても桜が見たいけれども、何かの事情でそれができなくなってしまうということらしいな。」
「やっぱり、宇宙旅行の途中で地球にたまたま立ち寄ったとか?」
2発目。再びうずくまる千秋。もう放っておくか。
「どういう頭でそういう発想が出てくるんだ?こういうのは普通に考えて」