さくらの空
空がピンクの絨毯で埋められていた。


降り注ぐ花びらから丘の上にある木が桜だと知る。


「ねぇ知ってる?」


少女がささやく。


「桜の花びらは郵便屋さんなんだって


花びらに気持ちを込めればどんなとおくの人にでも想いが届くんだって」


「ほんと?」


「えぇ。だから私は神様にお願いしようと思うの。夢を叶えてくださいって」


「じゃあ僕もお願いしてみようかな・・・」


「あなたの夢は何?」


今度ははっきりと声として響く。


しかし、残念ながら時間切れのようだ。


意識が現実へと引き戻される。
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