さくらの空
「・・・・というわけで、結局桜は咲いてなかったんですよ。」

正午過ぎ、遥さんへの報告を兼ねて店に足を運んだ。

「あれ、今日は千秋いないんですね」

「そーなのよ。風邪引いたみたいで休みの連絡があったわよ。

会えなくて残念?」

「え、、別にそんな事はないですけど・・・」

「ふふふ、最近の若い子は素直じゃないんだから」

「いや、ほらあれですよ。昨日散々連れ回したし。

それが原因だとしたらなんか悪いかなぁと。

というか連れ回されてのはこっちか・・・。ってこんなにのんびり話していて仕事はいいんですか?

お客さんは少なそうですけど。」

店内を見渡すとお世辞には多いといえない人数の客の姿が見える。

今いる場所は1Fの禁煙席であり、2Fは喫煙席となっていることを考えると、併せて12、3人というところだろうか。

この閑散っぷりでなぜつぶれないのかは不思議なところではある。


「まぁうちの場合大体が常連さんだし。あ、でも今日は千秋ちゃんがいない分忙しいかなぁ。」
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