さくらの空
冷蔵庫をあけてみると、ほとんど食材は入っていなかった。

仕方なく炊飯器だけセットし、すぐ近くのコンビニまで材料を買いに行く。

弁当を買うという手もあったが、病人には何か暖かいものの方がいいだろう。

ついでに手頃な健康ドリンクを購入。風邪の時にはこれに限る。



買い物から帰ってくると千秋はおとなしくベッドに横になっていた。

「でもまさかお前が風邪を引くとはなぁ。」

「先輩、それ何か人を馬鹿にしてません?私だって引くときには引くんですよー」

「あーそうですか。いばるようなことでもないし。

それにしてもちゃんと自炊してるのか?調理器具がきれいすぎる気がするんだけど。」

にんじんを細切りにし、しいたけは薄切りにする。

鶏肉は削ぎ切りにしてからさらに細かく切る。

「ん~最近忙しいですしね。それに自炊ってめんどいし。」

「やっぱり。ちゃんと食べてないから風邪引くんだぞ。

それに結婚したときに料理くらいできないと恥ずかしいんじゃないのか。」

炊けたご飯を水で洗い、細かくほぐす。これがポイントだと昔誰かから聞いた気がする。

「別に料理ができないわけじゃないんですけどね~。

それに料理できる旦那さん選べば問題ないんですよ。」

といってころころ笑う。そういう問題でもない気がするが気のせいということにしておこう。


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