さくらの空
「先輩って意外と料理できるんですね。見直しましたよ。」

雑炊ごときで見直されるのも若干心外ではある。

鍋に出汁を入れてにんじんを入れる。

煮立ったらご飯、しいたけ、鶏肉を加えてさらに弱火で煮る。

「意外とって何だ、意外とって。こう見えてもけっこう料理できるんだぞ。」

「へぇ。じゃあ時々うちにご飯作りに来てくださいよ。」

「な面倒なことできるかよ。そもそも俺は専属シェフじゃないんだから。」

「そりゃそうですけど・・・。じゃあもう一回くらい風邪引こうかな。」

鶏肉に火が通ったら、塩を1つまみ加えて、さらに溶き卵を上からかけ入れる。

「風邪を引くのは勝手だけどさ、くれぐれもこっちに移さないでくれよ。」

「大丈夫ですよ。先輩なら風邪引かなさそうだし。」

それってどういう意味ですか、千秋さん?

くだらないことを話している間に、卵がいい感じに固まる。

最後に水菜を細かくちぎり振りかける。
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