さくらの空
「で、今年は千秋ちゃんという女の子がいるんだぜ。

俺の情報ではお前との仲が一番怪しいからな。

それが違うとなれば俺にもチャンスがあるかもしれないじゃないかっ」

「そりゃそうかもしれないけどさ。そもそも健吾が興味あるのは遥さんじゃないの?」

「っるさい。確かに俺は年下よりも年上派だし、遥さん命なのは間違いない。

しかしな、夏樹。

物事には順序というものがあるのだよ。

将を射んとせばまず馬を射よ、だ」


なにが“だ”だ。

全く意味がわからない。

熱く語り始めた健吾を完全に無視し、自分の机に向かった。

大学の端末にログインし、メールをチェックする。

今日は柊さんからは返事は来ていないようだ。

まぁそういう日もあるだろう。

進路関係のページにアクセスすると、様々な業種の企業一覧が表示された。

よくもまぁこんなに会社があるものだと感心してみたりする。

いくつか有名な企業の情報をあさってみるがいまいち違いがわからない。

そもそも違いなんてないんじゃないかという気までしてくる。
< 54 / 56 >

この作品をシェア

pagetop