さくらの空
「へぇ、お前もようやく就活か？」

いつの間にか健吾が背後からのぞき込んでいた。


「ほら、先週教授に呼び出されてこってり絞られたしさ。健吾はもう希望出したんだっけ？」


「おう、大分前にな。元々興味ある分野があったしね。

3月になったら面接とか説明会始まるところも多いらしいから早めに決めた方がいいと思うぜ」

だからそんなに簡単に決まったら苦労しないっつうの。

「まぁ焦っても仕方ないし、こっちはマイペースで決めさせてもらうよ」

「マイペースなのもいいけど、何もしてないやつが言うせりふかよ」

正論過ぎて頭が痛い。

たまにまともなことを言うと思ったら人が一番気にしていることをついてくる。

「もういいですよーだ。おまえなんか友達じゃないっ」

「・・・夏樹、なんかおまえ最近千秋ちゃんに似てきた？」

「ば、馬鹿な冗談はよせ。なんで俺があんなやつに・・・」

「ほら、ペットは飼い主に似るっていうしな」

あーもう。ぼふっと机に突っ伏す。

その時、部屋のドアが思いっきり開け放たれ頭痛の元凶が飛び込んできた。
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表紙・目次

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